その瞬間の表情は、嬉しさと悔しさが混じりそして、どこか照れ臭いような何とも言えないものでした。
でも、自分のすべてを出し切ったことが分かっているのか、涙はなく十字を切って礼をした後、胸を張って試合場から出てきました。
私はそんな彼を抱きしめ「素晴らしい試合だったよ」と言って抱きしめました。
普通ならここで「先生」とか言って感動を呼ぶのですが、そこは彼らしく「あー負けた」「あー暑い」を連発していました
みなぽっけ空手プロジェクトを始めて約2年本当に色んな事がありましたが、そのすべてが報われた入賞でした。
これは、私だけが何かをしたのではなく、本当にチーム一丸となってつかみ取った入賞です。
道場だけでなく、メンタルの部分や運動メニューを一緒に考えてくれたみなぽっけのスタッフそして、一緒に指導をしてくれているS籐さんはじめ道場の仲間そして彼のお母さんはじめ道場のすべてのご父兄
本当に感謝、感謝です
もちろん、この入賞には発達に関する数年の勉強した知識や技術は不可欠でしたが、一番は道場全員が発達障害を持つ子を受け入れてくれた事だと思います。
発達障がいの子供は、やはり季節の変化や環境の変化に敏感で、入学式前などに急に他害行為が増えたり、先生の話を聞いてはいるけど、寝っ転がったり、飛び跳ねたりします。
運動や空手でいきなり魔法の様にその行動を変えることはできないので、徐々に統合しながら、空手や運動を並行して行うしか方法はないです。
礼儀礼節だけを強調し、そういう子を無理やり押さえつけて皆と同じ行動をとらせようとすると必ず歪が起きます。
私達、指導者や定型のお子さんしか見たことがないご父兄はそれをありのまま受け入れることが必要で、これができそうで出来ないのです。
前回、ブログで書いたように、こういう状態では、レベルが下がると辞めて行った家族もありましたし、私自身、発達障害の子供をただ預かっていればいいと最初は思っていました。
これではお互いが不幸になります。
道場全員が発達障がいという物を正しく理解し、それぞれの子供の特性をありのまま受け入れる。
これが一番重要ですし、今回の一番の勝因です。
決勝の再延長戦まで、一切手数が落ちずしかも最後まで技ありを狙って上段を蹴り続けた彼の試合は、何があってもみんなが支えて受け入れてくれているという安心感からきた物です。
このお互いの信頼関係を道場全員で結ぶことが出来たことが本当に嬉しかったし私以上にご父兄全員が涙した理由だと思います。
こういう試合をみせてくれた事に本当に感謝しています。
この入賞は、みなぽっけ空手プロジェクトそして今後、発達障がいがあっても空手を習いたいと思っている子達への希望の光となります。
本当にありがとう Y